ピストンリングについて


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1)ピストンリングの目的
→ピストン・シリンダ間は必ずクリアランスがあります。クリアランスがあるままだと、燃焼圧は逃げてしまい有効に出力を取り出す事が出来なくなりますし、エンジンオイルが燃焼室内に入ってしまいオイル消費が激しく、排ガスにオイルの燃焼物質が含まれる為に、環境に悪いエンジンになってしまいます。ピストンリングを入れる事により、ピストン・シリンダ間のクリアランス無くし上記の問題を小さくします。

2)ピストンリングの構成と材料
→ピストンリングの目的に書いたとおり、「燃焼圧を逃がさない」「オイルを燃焼室に入れない」と大きく2つの仕事がある為、ピストンリングは単に金属のリングが1本はまっている訳で無く、4サイクルエンジンの場合には3本のリングから構成されており、それぞれ、ピストン上部から「1stリング」「2ndリング」「オイルリング」と呼びます。それぞれのリングの目的と材料は
1stリング:燃焼圧を受ける。材料は鉄もしくはスチールで表面処理やメッキがしてある
2ndリング:1stリングから抜けた燃焼圧を受ける。また、オイルリングで掻き落す事の出来なかったオイルを掻き落す。材料は1stリングと同一。
オイルリング:ピストンが下降する際に、シリンダ内壁に着いたエンジンオイルを掻き落す。オイルリングは3つの部品から出来ており、中にバネが入っているため、クリアランスに対して追従性が他のリングに比べて高く、オイルの掻き落しを確実にしている。但し、その分シリンダに押し付ける力が強い為、フリクションは大きい。

ピストンリングと燃費
→ピストンリング・シリンダ間のフリクションはフリクション全体の9%とピストンよりも大きく、フリクション全体でも最も大きく。この低減は燃費に対して大変有効である。

ピストンリングの課題
→上記のように、ピストンリングは機能上必要不可欠な部品ではあるが、フリクションが大きく燃費低減に対しては有効な部品である。このフリクションを下げる方法としては
a)ピストンリングの表面処理の改善
b)ピストンの薄幅化
c)ピストン張力の低減化

というものがあるが、コストの問題やオイルの消費量の増大等の問題がある為、なかなか量産化は厳しい。


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