ベアリング(メタル)について


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1)目立たないけど大切なメタル →メタルは回転部品とそうでない部品の接点に使われる軸受けです。外からは見る事は出来ませんが、コンロッド・クランク間やクランク・ブロック間にはほとんどのエンジンで使われていますし、回転部品と接触する部分にはこのメタルや転がり軸受けが使われており、特に荷重が大きく転がり軸受けでは受け切れない部分での使用が多いです。メタルは重要なエンジン部品ですが、他の部品のようにあまり注目されません。特にチューニングといった時には見向きもされないでしょう。しかし、メタルはエンジンを正常に機能させる為には、非常に重要な部品なのです。


2)メタルの構造
→メタルは前述の通り、軸受けですので単独で機能する部品ではなくあくまで、「えんの下の力持ち」的な部品です。
メタルはパッと見はただの金属の板にしか見えませんが、層で構成されており、表面は耐摩耗性に強いものになっております。このメタルはここに組み込まれる軸とのクリアランスが適正なものの場合、「油をせまい隙間に引き込む事により発生する、くさび効果」と「軸が軸受けに急接近する時に油をおしのけようことにより発生する、しぼり油膜」により、負荷能力を発揮します。つまり、メタルは軸と接触しながら軸受けとして機能している訳ではなく、すきまの油により潤滑されて機能しているのです。但し、エンジン始動時には油圧がかかっていない為、油が無い状態で軸受けとして機能する事も求められるので、耐摩耗性が必要となります。

3)メタルの材質
→一般的な4サイクルエンジンの場合、メタルは表面にアルミ合金、裏金に鋼を用いた2層構造になっています。その他にも銅合金を用いて表面にメッキを施し、裏金に鋼を用いた3層構造のものやホワイトメタルを用いたものもあるようですが、耐食性や疲労強度の観点から今はあまり使われてないようです。

4)メタルの今後の課題 →メタルはエンジンが生まれてからずっと使われてきましたが、現在は燃費向上の流れはメタルにとって厳しいものになっています。というのも、軸受け面積は小さいほどフリクションは低減しますが、軸受け面積を小さくするとかかる荷重が同一の場合には応力が高くなり過ぎて、メタルが破損してしますのです。また、荷重自体も昔にくらべて大きくなっている為、メタルにとっては2重で厳しいのです。この問題に対して材質を変えたり、表面のメッキを変えたりして対策をされているようですが、今後もメタルにとって厳しくなるのは間違いなさそうです。


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