3)コンロッドについて


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コンロッドの目的
→コンロッドはピストンの往復運動からクランクシャフトの回転運動に変換する為の部品です。したがって、燃焼による荷重とピストン・コンロッドの慣性力による力に耐えなければなりません。

1)コンロッドの材料
→コンロッドには様々な材料が用いられるますが、一般的には炭素鋼が用いられ、棒状の炭素鋼を熱間鍛造という製法でコンロッドの形状にします。熱間鍛造とは1200℃程度まで炭素鋼の温度を上げておいて、コンロッドの型に入れて打つと、コンロッドになるというもので、鍛造で作る事により鋳造に比べて剛性を出すことが出来ます。その他にチタンが使われたりする事もあるようですが、一部の車種のみで一般的にはコストが高くなる為に用いる事は無いようです。

3)コンロッドの作り方 →炭素鋼が材料になる場合ですが、前述のように熱間鍛造でコンロッドの形状にした後、切削加工を入れます。この時、コンロッドの大端部(クランクシャフトと取り付く部分の大きいピンが入る所。逆にピストン側は小端部といいます。)は鍛造後はまだ分かれていなく、一つの部品なので、ここを分割します。最近はこの分割方法に新しい工法が加わり、「クラッキング」という方法で分割しています。クラッキングとは、分割したい部分にあらかじめ切欠きを入れておき、その切欠きにそって力を加える事によって、脆性破壊を起こさせます。脆性破壊された面は小さな突起がたくさん出来た状態になっていますので、分割された2つのコンロッドを組み合わせると、ピッタリとくっついてしまうのです。なので、位置決め用のノックが不要になる為、重量面で有利になるのです。
クラッキングした後は、再度2つの部品を組み合わせてコンロッドボルトを規定のトルクで締め付けた後に、大端部の穴を開けます。この事により、実際のエンジンに組み付けた時に、真円になるようにしているのです。いくら剛性が高いコンロッドといっても、ボルトを締付けた後には歪みが発生するようで、他の部品でも精度が要求される部品の場合には規定トルクで締付けたあとに加工を行う事は一般的のようです。


3)コンロッドに求められる事。
→コンロッドに剛性が求められます。特に大端部では、燃焼による荷重とピストンの慣性力を受ける為に、前述の真円に加工した穴が変形してしまい、クランクシャフトと焼きつきを起こす事が問題になります。もともと、コンロッドの穴とクランクシャフトの軸についているメタルは何十ミクロンというクリアランスしかない為に、ちょっとコンロッドが変形を起こすと大惨事になるようです。なので、剛性は非常に大切ですが、これに合わせて重量低減も非常に大切です。
コンロッドを軽く作る事が出来れば、クランクシャフトにかかるコンロッドの慣性力を小さくする事が出来るので、クランクシャフトを支えているジャーナルの幅も狭くする事が出来ます。クランクシャフトとシリンダブロック間でも、もちろん摩擦は起きていますので、このジャーナルの幅を狭くす事が出来ればフリクションの低減につながり、燃費に好影響を与える事になるのです。したがって、前述した「クラッキング」工法はコンロッドを軽くする事が出来るので、実は燃費に好影響を与える工法なのです。


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